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介護・看護特化型のアプリ事業者が本音で話す、 副業のメリットと注意点

慢性的な人手不足が課題となっている介護・医療業界では、単発バイトや副業ワーカーで人材確保を図る動きが浸透しつつある。株式会社USEN WORKINGが提供する『Ucare(ユーケア)』は、介護や看護の有資格者・経験者をつなぐ介護業界特化型のワークシェアリングサービスを提供し、アプリ利用者は10万人を超える。

一方で、「自分のスキルが通用するか不安」「副業とはいえ一から業務を覚えるのがつらい」といった不安から、副業の一歩を踏み出せない人も多い。

この記事では事業者側、ワーカー側それぞれからみた副業のメリットとデメリットなどについて、『Ucare』を展開する同社の村上大輔さんに話をうかがった。

 

副業は「普通の人」でも始める選択肢になった

——『Ucare』のアプリ利用者は、副業で利用している人も多いと思います。あらためて、副業のあり方がどうなっているのか教えてください。

これまでは副業というと、 が取り組むもの、というイメージが強かったと思います。しかし最近は企業も人材定着を見据えて副業を認める風潮も強まり、そのハードルが低くなりました。できる範囲で生活にゆとりを持たせたい人や、本業以外でも楽しく働く場所を見つけたい人など、特別なスキルを持った人に限らず、いわゆる「普通の人」でも身近な選択肢になっています

我々もいろいろとインタビューしてわかったのですが、収入を増やしたくても、転職してすぐに給料が上がるとは限らないという点に不安がある方って多いんですよ。でも、副業なら慣れている仕事や今のスキルを生かしてリスクを取らず、着実に収入を得ることができるこのメリットが動機の背景にあるのではないかと。

 

・『Ucare』利用ワーカーの推移   

——『Ucare』は介護施設特化型のマッチングサービスですが、とくにこの業界では副業のニーズが高まっていたのでしょうか?

はい。慢性的な人手不足を背景に、とくにコロナ禍の2022年6月頃から利用者は拡大し続けています。

ただ、我々のモチベーションは決して「副業させたい」ではないんです。ちょっと真面目な話になりますが、本当に実現したいことは、介護業界全体の人材不足の解消です。2023年にスタートした看護師のフィールドも含めて、事業者側からの要望に応じて事業を拡大した経緯があります。

 

——副業で収入を得たいワーカーの要求ではなく、まず事業者にとって人材確保が必要で、それがWin-Winの関係構築につながっている。

そうですね。ですので人手不足が深刻な介護業界では、副業ワーカーも貴重な人材として事業者から求められています

 

事業者から見た副業ワーカーを採用するメリットとデメリット


——
事業者から見た副業ワーカーのメリットを教えてください。

繰り返しになりますが、人手不足の解消が大きなメリットです。現在アプリを利用される介護事業者様の内訳は、シフトの穴埋め的なスポット募集目的と、長期採用を見据えた人材確保目的とで、肌感では半々くらいです。

事業者にとっても副業で実際に働いてもらったほうが、正規職員として採用時のミスマッチを防げるメリットがあります。ヘッドハンティング的な活用ができるので、募集要項で『転職意欲のある方歓迎!』と記載している介護事業者様もいるくらいです。

——事業者から見た副業ワーカーのデメリットを教えてください。

『Ucare』を通じたスポット募集は、面接を介さないサービスなのでどのような人材が来るか、やっぱり怖さはあると思います。ただ、実際に介護事業者様からの声を聞くと、「思ったよりいい人材が来て助かった」という評価が多いですね。

『Ucare』では事業者に対するワーカーからの評価を公開していますが、ワーカーに対する評価システムも提供しています。

また、ワーカーに対してはペナルティ制度も設けているということもあり、ワーカーが問題行動を起こさない仕組みになっています。これにより、クレームになることは稀になっていて、副業ワーカーであっても本業のワーカーと同じように、職場できちんと働けているのだと思います。

求人ページでは当該施設に対するワーカーからの評価が掲載されている。

 

ワーカーから見た副業のメリットと不安な点

——ワーカーから見た副業のメリットとデメリットはどんなことが想定されますか。

まず端的に、収入アップに直結するというのが副業のメリットですね。『Ucare』は即日入金が可能なため、働いてすぐにお金を引き出せるのは大きな安心感につながっていると思います。

また、介護事業者側の長期採用の話とも関連しますが、転職意欲のある人が、先に気になる施設で働いてみるという目的で利用するケースもあります。副業と同様に転職意欲のある人は想像以上に多い。以前に当社が実施した転職意思に関するアンケートでは、「いい施設だったら転職したい」と答えた人は69%にのぼりました。

逆に、他の施設でも働いてみたいなと思ったら、すぐに別の職場を探すことができる。厚生労働省のデータなどによると、残念ながら介護業界では職場の人間関係に悩んで離職される方も多いのが実状です。働いてみて職場の雰囲気が合わないなと感じたら、柔軟に別の職場を選ぶことができる。多様な働き方が実現しやすくなる点は、副業の大きなメリットといえるでしょう。

 

——「多様な働き方」について、もう少し詳しく教えてください。

たとえば、 お子さんの送り迎えのすき間時間に時短勤務で働くワーカーもいます。最も多いのは本業がない日に朝から勤務されるケースですが、ワーカーの方々それぞれ家族のライフスタイルやご本人の要望に応じて機動的に働かれているようです

 

——一方で、職場で自分のスキルが通用するか不安もありそうです。

採用したワーカーのスキル不足が原因でトラブルになった、ということは今のところほとんどありません。裏を返せば、介護や看護の有資格者や経験者の方は、副業で「本業と同じ」自身のスキルを生かして付加価値の高い業務を提供できているということだと思います。

また、もともと介護業界は派遣スタッフも多いため、業務マニュアルや指導システムなどの受け入れ体制が確立されていることもワーカーの安心につながっています。最初の第一歩こそ不安かもしれませんが、その後は皆さん問題なくサービスを利用して働き続けていますね

事業者からどのような人材が求められているか

——事業者が求める人材像について教えてください。

ワーカーの約9割が、介護福祉士や看護師・准看護師など何らかの有資格者で、介護業務の経験者は8割以上となっています。もちろん無資格者や未経験の方でもできる業務もありますが、介護事業者側からは、プロフェッショナル人材が求められる傾向が強いようです。

 

・『Ucare』利用ワーカーの内訳

——ミスマッチを防ぐために気をつけておきたい点は?

うーん、双方が 利用することもあり、ミスマッチというのはあまり報告をうけないですが……。強いていうと、当たり前のことですが、まずは募集要項をきちんと確認していただくことです。同性介助の要件があるのに異性の方が応募してしまったり、入浴介助など力が必要な業務なのにご自身に体の不調があって業務に差し支えがあったりとか、そういう最低限の認識違いがないようにだけ確認しておいていただければ、概ね問題ないかと思います

 

——派遣サービスとの違いは?

事業者目線では、派遣サービスは人材確保の確実性は高いけれども、コストが高いというデメリットがあります。また依頼できる業務が限定的なため、場合によっては手が足りないときに契約上仕事をお願いできないということもあります。

また介護事業者様からヘッドハンティングされて長期採用につながることもあるため、転職探しも兼ねて働きやすい点も副業の特徴かと思います。

 

副業は第一歩を踏み出せるかどうかが重要

——まだ副業未経験者の不安を解消するにはどうすればいいのでしょうか? 

我々もそこは一番の課題として捉えていて、ワーカーにとって最もハードルが高いのは最初の第一歩だと考えています。我々のサービスではアプリ上ですぐに採用が決まるのですが、それだけでなく事業者様には応募時点で「初心者OK」と打ち出しを推奨するなど、いろいろな角度やかたちでワーカーの第一歩を後押ししています。

 

——最後に介護業界にとって副業がどういう存在なのか、あらためて教えてください。

我々がミッションとしているのは、「採用し続ける世界からの脱却」です。「採用がゴール」になると、またどこかで人材不足の問題が生じてしまう。そこで我々が介護業界で働き方の選択肢を増やす後押しができれば、人材の流動性を促し、事業者だけでなくワーカーにとっても柔軟な働き方や生活設計の実現につながると考えています。

副業は多様な働き方を実現するために、今後重要な選択肢となり得ると思います。

 

 

<取材協力>

●Ucare

https://ucare.works    

 

株式会社USEN WORKING
CPO(Chief Product Officer)
村上大輔さん

東京大学大学院を修了後、株式会社ワークスアプリケーションズで8年間エンジニアとして従事した後、プロダクトマネージャーに転身。株式会社リクルートでのCRM+機械学習の新サービスや、飲食ベンチャー企業でのモバイルオーダー製品などを担当した後、現職。
プロダクトだけでなくセールス側にも足を踏み入れ、2023年12月よりUcare事業責任者。3児のパパ。